映画・テレビ

『きみに読む物語』

きみに読む物語 スタンダード・エディション [DVD] DVD きみに読む物語 スタンダード・エディション [DVD]

販売元:ハピネット
発売日:2006/10/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

こんなに“良い映画”って思える映画を観たのは久しぶり。
本当に良い映画。

原題は"The Notebook"なんだけど、日本版では『きみに読む物語』。
それは、アルツハイマー(認知障害)になった愛する女性に、男がノートに記された自分たちの愛の物語を読み聞かせるから。
女は、その男のことさえ思い出せない。
でも、男は繰り返しその物語を読み聞かせる。自分が愛した相手だということさえ気づいてくれない女に。ずっと。

この映画は、読み聞かせる男とそれを聞く女、それと、そのノートに記された二人の物語の回想、の二つが交差しながら進んでいく。
はっきり言ってしまえば、常に男=ノアが可哀想ではある。
上流階級の女=アリーと、材木屋のノア。ずっと女を愛し、奇跡を信じて読み聞かせ続ける男と、すっかり忘却し、「あなたは誰?」と毎日繰り返し尋ねる女。
でも、二人の愛は、そんなことさえ些細だと思わせてしまうものなのかも。
ノートに書かれた二人は美しくて、すごく強い。

「平凡な人生を歩んできた」と自称する一人の男が誇るのは、「一生をかけてただ一人の人を愛したこと」。
そう。男は、平凡な人生を歩んだと思う。女は結構紆余曲折したけど…笑

この映画の感動は、映像、ストーリー、演技、画面の切り替え、、そして、観る人が「永遠の愛」っていうテーマを肯定できてなければ味わえない。

私が一番感動したのは、若い二人よりむしろ、老いた二人。彼女を愛し続け、信じ続ける男。そして、その老いた男の心をゆさぶり、喜ばせ、絶望させる、それほどまでの愛。長い年月も、病気も、記憶を失うことでさえも、決してその愛が朽ちることはなかったという事実。
彼女もまた自分をずっと愛してくれているのだ、という気持ちがなければ男はここまで出来ないだろうし。
男はずっと自分を愛し続けてくれているのだ、という信頼が彼女の記憶をも連れ戻すのだろうし。

だから、「永遠の愛」が肯定できなければ、このストーリー自体を楽しむことはできないだろう。
私は、「ずっと二人で」と言いあい信じ続けた二人の朽ちることない愛こそがこの話の根源だと思う。

| | トラックバック (0)

『エリザベスタウン』

エリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] DVD エリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

販売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
発売日:2006/11/02
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この映画を見ながら、たまに思うことがある。
エレンは、主人公が創造した女性なのでは??

それは、あまりにエレンが自由で、たくましくて、それでいて広い心を持っているから。
ふっと消えては、また現れる。

主人公もエレンも、どっちも自分をすごく客観的に見ることのできる人で、かつ、お互いがお互いを客観的に見ている。
自分の痛いところを突かれても、動揺はするけど、怒声を浴びせたりはしない。

そして、だれとも距離を置いている。
距離を置くための方便を使い分ける。

そんな二人をつなぐのは、死んだ父親。
二人の間にはずっと父親がひかえている。
二人を見つめている第三の目であり、また、二人にとっての自分を客観視する目としての機能をはたしているんだろう。

私は、この映画は、ずっと側に置いておけるような、そんな豊かな映画だと思う。
見る人、見る時によって全然違う様相を見せる。
実際私もこの映画を見たのは二度目で、一度目とは全く違った感想を持った。

また、何年後かはわからないけど、必ず観なおすだろう映画。

| | トラックバック (0)

『モーターサイクル・ダイアリーズ』

モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD] DVD モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2005/05/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 これは珍しくDVDレンタル開始直後にみる機会があった作品。
今から3年前になるけど、色あせずにずっと心に残ってる。いい作品だねーw

 革命家、チェ・ゲバラといったらすごく有名だけど、この映画はそのゲバラが「チェ」と呼ばれる以前の話。ただの医学生、エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(長っw)だった時のね。
 だから、ゲバラの代名詞である革命も、人々を率いた闘いもない。
 でも、なぜ彼が革命を目指したのかを知るためには、この時代の、この映画の表した時のゲバラを知らなくてはならないんだと思う。彼が何を見て、何を聞いて、そして知ったのか。ゲバラが時代を許せなくなった、動かなくてはと思った、その気持ちをどうやって募らせたのかが、この映画の表すゲバラ。
 ゲバラの書いた小説をもとにしているんだけど、全貌は医学生だったゲバラが友達と二人で南米を旅した時の話なんだよね。で、なんと、この時一緒に旅をしたアルベルト・グラナードさんがこの映画につきっきりで協力してるのですよ。ゲバラの視点だけじゃなく、彼を見ていた友人の視点も加わって、多角的でかつ豊かな作品になってるんじゃないかな。

 そうそう、日本では医学生っていったら“エリート”的なイメージがあるけど、なんとソ連では若干窓際族だったらしいよ。給料も少なくて、社会的な地位も全然高くなかったんだって。だから、ゲバラはアルゼンチンの豊かな家庭に生まれたんだけど、アルゼンチンでは医者がエリートなわけじゃないかも?わかんないけどね笑

 ゲバラが旅の中で感じた“変えたい”という気持ちは何を見て育ったのか、その気持の根源は今の私たちの周囲にもありふれて存在してる、と私は思う。それが何か、は人によって違うだろうけど、今の日本にはいっぱいあるよ。だから、ゲバラみたいに革命を目指さなくてもいいから、せめて、自分の周りにある寂しい現実を「当り前」と思わないで欲しいな。どこかおかしいんだ、って気づいて欲しい。自分はたまたま一般レベルで生活できているけど、どう転ぶかわからない。転んだ先からどう足掻いても戻れない、そういうことが当たり前なんておかしいんだよ。深くは追求しないけど、考えてみて欲しい。

 今月はゲバラの映画が2作品も上映されるよね。っていうか、1つめは今日上映開始だね笑 今、ゲバラの映画を見ることで何か起こればいいなって思う。ただ単純に、ゲバラの生き様を見てたら、自分も何か出来ることがあるんじゃないか、って軽く思えるくらいでもいい。むしろ、重くなったらマズいww
 チェ・ゲバラの“チェ”って、南米のスペイン語で「ねぇ」って語りかける時に使う愛情表現なんだって。「チェ・ゲバラ」って呼ぶ人はみんな、ゲバラに対して、やさしく「ねぇ、ゲバラ。」って語りかけてるわけだね。なんか、そういうのっていいなぁ。ゲバラはすごく愛されてたんだなってわかるじゃん。素敵なことだよね。

| | トラックバック (1)

かもめ食堂

かもめ食堂 DVD かもめ食堂

販売元:バップ
発売日:2006/09/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

やっと自由にネット繋げます!!あぁ万歳!

ということで、「かもめ食堂」です。このブログ初の映画?ですよね。

 

舞台はフィンランド。北欧です。撮影も全部フィンランドで行なわれたとか。やはり、映画って撮影の場所の空気が映りこむような気がします。見ていて、北の冷たいけど爽やかな空気感が伝わってくる気が。。

この映画で好きなところは、主役の過去がほぼ出てこないところ。過去なんて今生きている人にはわからなくても、全然かまいやしません。大丈夫なんです。過去を知ることが友達の絶対条件じゃないんですね。そう思えました。

年老いた母親をずっと介護し続けおそらく憔悴しきっていただろう過去を持つ女性が出てくるんだけど、その母親が亡くなって、彼女は一人フィンランドに旅行に来るんですよ。その女性の軽やかさ、っていうか、清涼な雰囲気がすごく印象に残ってる。しかも、彼女がフィンランドを選んだ理由ってのが本当に素敵!母親が亡くなった後、一人でテレビを見てたら「サウナ我慢大会」が流れてきたんだって。フィンランドで開催されたその大会で会場の人たちがサウナの中で必死に耐えてる姿が放送されて、「あぁ、なんて馬鹿なことを一生懸命に頑張る人たちなんだろう…!」と彼女はフィンランドに旅行することを決めたそう。

たぶん、多分だけど、、彼女は自分の肉親の命を抱えてずっとずっと、一生懸命に頑張ってきたけれど、世界にはこんな、こんなことを耐久する人もいるのか、と思ったんだろう。自分が介護の為に使ってきた忍耐力を、フィンランドの人々は「サウナ我慢大会」に使ったりするんだなぁって。そういう生き方に憧れたのかもしれない。

かもめ食堂の三人の主役の中でも、彼女は一番最後に登場する。フィンランドに着いたのに空港で荷物が出てこなくて、毎日「私の荷物、届きましたか?」って空港に電話してる。彼女の荷物が出てきたとき、彼女はどう変わっていただろう。日本に居た時の自分が選んだ旅の荷物は、ほとんど何も持たずにフィンランドで過ごした自分にはどう映ったのだろう。彼女の趣味も、嗜好も、モノの見方さえも、ほんのわずかの間にガラッと変わってしまうんじゃないだろうか。

日本に住む私が、外国からきた旅行者に「この国の人はどうしてこんな風なんですか?」って尋ねられたら何て答えるかなぁ。私には一言ではっきりと答えることは出来ないでしょうね。だからこそ、「かもめ食堂」で日本人からの同じ問いかけにフィンランドの人がたった一言で答えた時、すごく感動しました。フィンランドには、こんなに明確に誇れるものがあって、“自分達を「生かし」て「育て」てきた『他者』があるんだ”と奢ることなく言える自信があるんだな、と思ったんです。

「かもめ食堂」にはたくさんの生きている人が出てきます。それぞれの人は、人生の中でのほんのわずかのすれ違いかもしれない、その「わずか」で動き出すものがあって。ほんの少し、人に優しくなれたり。ちょっと、頑張ろうかなと思えたり。背に負ってきた今までの生き方を捨てることができる。

彼女達は、最初に少し“冒険”してみただけです。今までの自分ならしなかったことを少し勇気を出してやってみただけ。それだけで物語は違う歯車を咬み始めるんですね。数ミリ先の違う歯車を咬んだだけで、自分を動かす“仕組み”は異なる方向に進み始めるんです。使われていなかった機構が、動き始めるんです。自分の中に存在していたのに、活動を休止していた部分が。本当に素敵な映画です。

| | トラックバック (0)